松本人志にとってプロとは「素人に圧倒的な力の差を見せつけること」

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ほとんど明かされたことのない、松本人志の笑いの現場。2010年10月16日放送の「プロフェッショナル 仕事の流儀(NHK)」では、彼が笑いを生み出す瞬間を捉えている。

笑いとは七並べのようなもの

松本は本番のステージで起こる笑いに徹底的にこだわる。

「生放送ではないけど、現場は生き物。現場の空気は大事にしたい」
「(笑いは)鮮度が大事だから」

お笑いの世界で20年以上生き残ってきた松本。思わず笑ってしまう笑いの陰には、計算された技術がある。

「笑いは七並べのようなもの。最後のカードをどれにするか」
「かといってあえて最初にカードを切ってしまうとか。どの順番でやるかがトーク」

相方・浜田については、次のように話す。

「(浜田は)すっごい嫌いやったりするんですよ。金曜日にはすっごい殺したいと思うけど、土曜日にはこういうやつなのか、って思う。でも、一日でも(浜田のほうが)長生きしてほしいと思うよね」

笑いの裏に、悲しみがある

そんな松本が新しいものに挑戦している。新作映画だ。今度の映画の主役は、普通の素人。今までの松本作品も実験的だったが、今回もまさしく「実験的」だ。

「あんなに面白くない人が、一番面白い。お笑いって表裏一体な所がある」

松本は幼馴染みの高須光聖(放送作家)と、4時間語り尽くした。

「(デビュー当時は)漫才ブームが終わった後だったので、芸人の価値が一番低かった。だから何くそ根性でやってこれた。今はお笑いが重宝されている気がする」
「どっかに悲しさがないと、面白くない。笑いの裏に、悲しみがある」
「ただの芸術家になってはアカン。でも、ひざまづきたくないやんか」

松本のコントは難しい

しかし、松本のコントは視聴者から離れていく。「松本の笑いは難しい」と。

事実、松本の笑いは「ごっつええ感じ」の段階で個性を放っていた。その展開についていけない視聴者もいたはずである。ごっつ終了後、松本はコントの世界から遠ざかることになる。多くのファンが求める笑いと、松本の笑い。松本の格闘は続いた。

再びコントの現場へ

しかし、9年ぶり(当時)に地上波でコントを作ることになった。コンビを組むのはNHK。

第1回企画会議は4月。松本が信頼する作家を集め、アイディアを出し合う。この第1回会議では「顔合わせ」の予定だったが、松本はどんどんとアイディアを出していく。黒板は松本のアイディアで埋め尽くされていく。5時間の会議の中で、松本は6本ものコントのアイディアを出した。他の芸人に頼らず、自分ひとりで演じる。ここに静かな覚悟があった。以前考えた6個のコントのうち、2つをはずして一から作り始めた。

思い付いたアイディアと、削るアイディア。今、どんなコントが欲しいのかを探す。

アイディアが出過ぎて、収集がつかなくなることも。そういうときは、いったん企画を打ち切る。企画会議と並行して、週5本の番組の撮影へ。

コントの打ち合わせはのべ25時間

コント打ち合わせ第3回目。たくさん出たアイディアを整理し、笑いのツボを整理していく。放送作家の一人とアドリブで会話しながら、作り上げていく。企画会議はのべ25時間。最終的に6本のコントが決まった。

ダウンタウンの代名詞といわれた「ブラックな笑い」は、そこには無かった。

松本人志が語る「プロ」とは

最後に、プロフェッショナルとは何かを問うた。

「素人に圧倒的な力の差を見せつけることやと思います」

圧倒的な差。すべてのプロフェッショナルの内なる声を代弁しているかのようだった。

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