振付師・夏まゆみ氏が板野友美に対して叱咤した「悪いプライド」

mayumi

エースと呼ばれる人は何をしているのか(夏まゆみ/サンマーク出版)

夏まゆみさんといえば、古くは吉本印天然素材(ナインティナインや雨上がり決死隊などを輩出)の振り付けから、モーニング娘。やAKB48の振り付けなので有名。名実ともに著名なアイドルを手掛けてきた実力派振付師です。長きにわたり多くのアイドルを見てきた夏氏。彼女からは、エースになれるアイドルとそうではないアイドルの違いはどのように映っているのか。またあ「センター」になる人には、どのような素養が備わっているのか。タレントだけではなく、一般的なサラリーマンでも「選ばれる人」になるためのエッセンスが詰まった1冊です。

筆者が一番興味を持ったのは、元AKBの板野に対する指導。彼女はもともとダンス経験があり、それなりにプライドを持っていました。そのため、プライドが邪魔して真剣にダンスの練習をしようとしなかったそうです。その板野に対して夏氏が取った行動とは…? 以下引用です。

人間は確かに成長するために生まれてきたのですが、人間の中には自分で自分の成長を止めてしまう人もいる。そして、成長を阻害する要因のなあかでもとくにやっかいなのが「悪いプライド」です。

たとえば元AKB48の板野友美――。

今の彼女からはイメージしにくいでしょうが、AKB48に入ったばかりのころはちょっとした問題児でした。第一期生のなかでダンス経験があったのは彼女と峯岸みなみの二人だけだったためでしょう。「私はほかの子とは違う!」と勘違いして、まじめに練習に参加しようとしなかったのです。
もとよりダンスを少々かじったくらいではプロの舞台で通用するはずがありません。しかも板野のダンスには独特のクセがあって、それを矯正しなければならないことを考慮すると、むしろほかのメンバーよりも努力が必要なくらいでした。

それなのに板野は「自分はできている」と思い込んで、素直にレッスンを受けようとしない。踊り方についても、いくら注意されても自分のスタイルを変えようとしない。見かねた私は「板野、自分がうまいと思ってるなら大間違いだよ。そんなんじゃすぐに抜かされるよっ!」と強く叱りつけたこともありました。
それは脅しではなくて本当のことで、板野がぐずぐずしている間にも差はどんどん縮まっていきました。ほかの子たちは初めてのステップに苦戦しながらも、何度も何度も基礎を繰り返して着実にうまくなっていったし、もとからそこそこ上手だった峯岸は、烈震をとおしてさらに磨きがかかっていった。
変わらないのは板野だけでした。

こうなったら元凶である「悪いプライド」を徹底的に打ち砕くしかない――。

私はそう決意し、わざと板野のプライドを傷つける行動をとりました。

みんなに々ステップをさせて、うまくできた子から休憩を許可し、本当にできない子と板野だけを最後まで残す。ステージ上の立ち位置も、一列目から二列目、二列目から三列目とどんどん後ろに下げてしまう。それは、悪いプライドを持ち続けることの無意味さを、言葉ではなくレッスンをとおして伝えていく作業でした。
板野は心の底から悔しかっただろうと思います。だけど彼女が偉いのは、私に厳しくあたられても、立ち位置が後ろになってしまっても、ステージに立ちつづける意思だけは失わなかったことです。

 

板野が「悪いプライド」を捨てて練習に真剣に取り組むようになるまでの過程が掛かれています。

このエピソードは、ビジネスにおいてもよく起こることです。たとえば、良い大学を出て一流企業に入った人が、ベンチャーに転職したとき。「自分は今までこういう経験をしてきた」という自信に引っ張られて、そのベンチャー企業での風習に溶け込もうとしない人は、少なからずいるものです。

「郷に入っては郷に従え」ではないですが、やはり会社に溶け込むよう努力するのが最優先課題であるのはいうまでもありません。でも「悪いプライド」って実績に裏打ちされているので、なかなか打ち砕くことができないんですよね。変に勘違いしてしまう。そうすると、その人の成長って止まってしまいます。まわりの人もどんどん離れて行ってしまいます。それはビジネスチャンスをみすみす逃してしまうことにも繋がってしまうのです。

キーワードは「謙虚さ」。これを忘れずに仕事をしていきたいものです。

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